【糸島市】テレワークで叶える”糸島ライフ”
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「家以外でテレワークがしやすい場所を見つけたい」
「地方でも、自由な働き方を実現したい」
そう思ったことはありませんか。
今回は、テレワークの推進に力を入れている糸島市企画部ブランド・学研都市推進課・岩田さんに、テレワーク推進の背景から今後の展望までお話を伺いました。
利便性も豊かな自然も兼ね備えた糸島市
糸島市は、福岡県西部に位置する人口約10万人の都市です。博多駅まで約35分、福岡空港駅まで約40分と都会へのアクセスがいい一方で、北には玄界灘に面した美しい海岸線、南には山々が連なり、豊かな自然が特長です。
近年は観光地としても人気が急上昇。赤いロンドンバスのカフェなどの写真映えスポットがInstagram上で話題を呼び、福岡中心街から行きやすいこともあいまって、若者を中心に多くの観光客が訪れるようになりました。
利便性も豊かな自然もある糸島市は、仕事をする場所としても最適です。
今回の取材場所であるオープンコミュニティスペース「みんなの」、「前原テレワークセンター」など、ワークスペースが充実しています。また場所の提供だけでなく、テレワーク初心者向けの講座の開催やテレワークに関する相談受付など、市のサポートでテレワークをしやすくする取り組みが数多く行われています。
テレワーク推進のきっかけ
「糸島市としてテレワークを推進するようになったのは、当初は移住促進のためでした」と岩田さんは話します。
糸島市は隣接する福岡市へ通勤する人が多く、糸島市内での事務職の求人はあまり多くはありません。特に、移住者で配偶者の転勤についてきた方などは、自宅で続けられる仕事しか選択肢が無かったり、糸島市内で仕事を探すにしても相談相手がいないため難しかったり、働き続ける上での課題がありました。
その課題を解決するため、2016年に「ママトコワーキングスペース」をオープン。主に働く意思のある女性のコミュニティ形成を目的に、ライティングなどの勉強会を開催したり、再就職に向けての相談ができる場を作ったりしました。
2021年からは移住促進という目的に限らず、”しごとの創生”という大きなテーマを掲げ、多様な働き方を可能にする手段の一つとしてテレワークを位置付け、改めて歩み始めています。
テレワークによって”職住近接”を目指す、糸島市の未来
テレワークの推進によって、どんな未来が期待できるのでしょうか。
岩田さんは、「色々な人材が集まり交流することで、糸島から新たなビジネスが生まれることを期待している」と話します。
NTTグループが完全テレワーク化を表明するなど、今後は企業においてもテレワーク化がさらに進むことが想定されます。
企業で働く会社員に安心してテレワークができる環境を提供すれば、福岡市内に通勤せずとも糸島市内で勤務ができるようになります。それによって、糸島の豊かな自然を活かした個々人の生活の質の向上だけでなく、通勤時間の短縮による地域活動などへの参加機会の増加も期待できます。テレワークの推進が、地域の担い手の確保、コミュニティの維持や地域の活力にも繋がるのです。
また、会社員もフリーランスも、市内のワークスペースを一緒に使ってもらうことで、異なるバックグラウンドを持つ人同士の交流が生まれ、新しいビジネスが生まれることも期待できます。
実際、市内にいくつかあるワークスペースでは、今までは「自由度の高いフリーランスの方が利用する場所」というイメージを持たれていたものの、最近ではかなり認識が変わり、会社員など利用者層の幅が広がってきたそうです。
企業からの市内のワークスペースへの問い合わせも徐々に増えています。「コロナ禍に限定した働き方の対応というよりも、長期的にニューノーマルな働き方を実現したいという企業が増えている実感もある」と岩田さんは話します。
移住の促進という従来の目的に限らず、糸島市民が暮らしやすく働きやすい環境を整えることによって、新しいビジネスが立ち上がり、所得の向上や雇用の創出など地域にとっていい循環が期待できるのです。
テレワーク推進の真の担い手は市民である
テレワークを推進するにあたって、市はどんな役割を担っているのでしょうか。
岩田さんによると、「市はあくまでもサポート役であって、市民の皆さんがプレイヤー」とのこと。市が全面的に主導すると決まりごとが多くガチガチになってしまって、いいものが生まれにくいと話します。
今回の取材を実施したワークスペース「みんなの」ができるまでの話を聞くと、サポート側としての市の立ち位置が良く分かります。
先ず、糸島新聞社、西日本新聞社、市役所とで「中心市街活性化をしよう」と動き出したそうです。そのなかで、新たな風として糸島の「ひと」と「まち」をつなぎ、まちの活性化に取組む役割を担うことを目的として、3名の移住者により「いとしまちカンパニー」が設立されました。さらに地域の活性化等の取組みを支援しているNTT西日本を巻き込み、「NTT西日本」×「いとしまちカンパニー」×「糸島市」の3者連携協定を結んでいます。そして、NTT営業所跡地を活用して、NTTの協力も得ながらいとしまちカンパニーが新たなまちの拠点として「みんなの」を整備運営しています。
糸島市ではイベントも盛んに開催されていますが、そのほとんどが市民の手によるもので、実はそれらは移住者の発案によるものが多いそうです。移住者のアイデアを、移住者と元から住んでいる人たちが協力して形にしていくケースが多いんだとか。
移住者の中に活躍するプレイヤーが多いことは、新たな移住者の誘致にも繋がります。町おこしに参画できる機会や面白い活動をしている人と繋がる機会が多いことも、移住を検討している人にとっては糸島市ならではの魅力として映るのです。
糸島市のテレワーク推進の今後
糸島市は自然豊かなところが魅力のひとつ。しかし、「自然豊かでリラックスできる環境であるだけでは、あまり意味がない」と岩田さんは話します。
観光資源やワークスペースの設備などのハード面より、活発なコミュニケーションなどの人が関わるソフト面の方が、人を集めビジネスを発生させるためには大切だと感じているそう。
令和4年度より、テレワーク推進は移住・定住担当からブランド推進担当に移管され、民間のプレイヤーとの連携をより一層深めながら、移住のための施策から新しい働き方推進の施策にシフトしていくそう。
先輩創業者の生の声が聴ける「みんなのそうぎょう」といった創業支援の施策も拡充していきます。この施策も、ただ知識を習得してもらうだけでなく、創業を志す人どうしの繋がりを生むことを狙いとしています。
「民間から自然発生的にプロジェクトが立ち上がるのが、プロジェクトとしてはスタートだが、市役所にとってはひとつのゴールとも言える」と岩田さんが話すように、市はこれからもサポート役として糸島市でのテレワーク推進を盛り上げていきます。
利便性、豊かな自然、面白い人との繋がり。いくつものピースが揃った糸島市で、”ニューノーマルな働き方”への一歩を踏み出してみませんか。
※この記事内容は公開日時点での情報です。