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  • 【株式会社グルーヴノーツ】地方創生としてのワーケーションの仕組みづくり

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  • 株式会社グルーヴノーツ 代表取締役会長 佐々木さん

    近年、急速に人気が高まっているワーケーション。親は「ワーケーション」を、子どもは「スタディケーション」を楽しめるという新しいかたちのイベント「テックパーク 親子スプリングキャンプ 2021 in 南紀白浜」が5月に開催されました。親は日中に仕事や大人向けのアクティビティを楽しみ、子どもは最先端のAIやプログラミングで遊ぶという内容です。
    イベントは大成功。参加者の90%以上が「とてもおすすめしたい」と回答し、イベント後に再び南紀白浜に遊びに行った参加者もいたそうです。
    成功の背景には、一過性ではなく、継続的に「地方創生」に繋がるような仕組みづくりがありました。今回のイベントを主導したのは、福岡にある株式会社グルーヴノーツというベンチャー企業です。同社でテクノロジー教育事業「TECH PARK(テックパーク)」を推進する代表取締役会長 佐々木さんに、地方創生としてのワーケーションの活用についてお話を伺いました。

    地方創生に必要な仕組みとは

    企業や自治体が地方創生に取り組んだ際によく課題として挙げられるのが、何かイベントや企画を行っても、一過性の対処療法で終わってしまうということ。継続して地域を盛り上げる仕組みを作るためには、「人との繋がりを作ること、ローカライズ(地域に最適化)することが大事」と佐々木さんは話します。

    株式会社グルーヴノーツ 代表取締役会長 佐々木さん

    今回の南紀白浜でのワーケーション&スタディケーションイベントを開催するにあたり、まずは佐々木さん自身が、南紀白浜の現地に1年ほど前から足を運んでいたそうです。自分自身が足を運び、現地の人と仲良くなる。自分自身がお金を使い、現地の行政や漁協などの関係者を繋ぎ、巻き込む。そんな風に、まずはイベントを企画する自身がその地域に入り込み、人と人との繋がりを作ることに尽力していたといいます。
    その中で、現地の人の声に耳を傾けることが、企画のローカライズのために必要と佐々木さんは話します。地方では、地方創生の新しい取り組みをしたいというニーズがある一方で、既存の考え方や地域の仕組みを大事に守りたいという考えもあるそうです。例えば、コロナ禍でのイベント開催への考え方も、地域によってさまざまです。その地域特有の事情やニーズをしっかり把握し、イベントもそれに寄り添う形で企画するローカライズが大切だといいます。

    現地の人との繋がりを大切にイベントを主導した佐々木さん。「イベントが終わった後も、『今年の梅干しができたけど送ろうか』といったように、一知人のように親しく連絡をいただきます」と楽しそうにお話してくれました。

    家族でワーケーションをするメリット

    今回、南紀白浜で開催したイベントは、「ワーケーション」と「スタディケーション」もセットになって、親子で参加して楽しめるというのがポイント。ワーケーションだけでは1人で行ったり、会社の仲間と行くイメージが強く、親子で参加するのは斬新に感じるかもしれません。

    佐々木さんは、「観光地で、必ずしも家族全員で同じことをしなくてもいいのでは。大人は大人で、子どもは子どもで楽しめる時間があってもいいのではないか」と話します。ワーケーション&スタディケーションに参加する側は、「ワーケーションに出かけたいけど、家族との時間も作りたい」という親の希望、「親とずっと一緒に遊ばなくてもいい、同世代の友達と遊びたい」という子どもの希望、どちらも叶えることができるのです。
    ワーケーションを受け入れる地域にとっても、参加する家族にとっても、「家族それぞれが過ごす場所ができる」というのは大きなメリットなのです。

    南紀白浜でワーケーション&スタディケーションイベントを開催

    「テックパーク 親子スプリングキャンプ 2021 in 南紀白浜」は、地方創生の取り組みとして、実証実験のようなかたちで開催されました。そこには、人と人の繋がりを大事にする、佐々木さんの想いがありました。

    佐々木さんは、「地域の魅力を感じた人は、一度きりではなく自ずと再び訪れる。一方で、また行こうと思うのは、場所が魅力的なところだけではなく、人のコミュニティがあるところだ」と話します。観光資源としての魅力をアピールするだけではなく、人や地域との繋がりを感じられるような仕組みを作りました。例えば、最先端のAIやプログラミングで遊べる子ども向けのプログラムは、都会から訪れるイベント参加者だけでなく、南紀白浜の現地の子どもも一緒に参加できるようにしました。子どもどうしで交流しながら楽しくAIやプログラミングを学ぶことができます。

    佐々木さんは、「仮に日帰りだとしても、そこで人との繋がりができれば、またリピートで訪れてくれるはず」と話します。イベントの参加者を増やすことは、一度きりの来客数を増やすことにとどまらず、その地域と長く関わる関係人口を増やすことにつながるといいます。イベントを通して人や地域との繋がりができた人は、またワーケーションのためや仲良くなった人に会うためにその地域を訪れるでしょう。

    実際に、南紀白浜でのワーケーション&スタディケーションのイベントを通して、福岡から参加した子どもと地元・南紀白浜の子どもが仲良くなり、イベントが終わったあともオンラインで一緒にゲームを楽しんだり、違う学校だけれども同じ部活に入ったり、とても仲良くなったケースもあったそうです。ほかにも、イベントが終わったあとに家族で改めて南紀白浜に遊びに行ったという参加者の方もいらっしゃいました。
    佐々木さんは、「コミュニティ形成は、まずは子どもからが入りやすい。大人は子どもどうしで楽しんでいる間に、気兼ねなく仕事や観光を楽しむことができる」と話していました。

    編集後記

    ワーケーションのイベントを、継続的な地方創生につなげるためには、地域と参加者の双方に寄り添うこと、人との繋がりを大切にすることが必要だということがわかりました。
    地域のそれぞれの特性や事情を正しく察知して配慮すること。そのために、まず企画する人自身が現地の人との繋がりを築くこと。参加者と現地の人の繋がりをつくることで、リピート訪問してもらうこと。1年にも及ぶ丁寧な”仕込み”によって、ひとつのイベントのみならず、継続的に地域を盛り上げる仕組みを作り上げていました。

    また参加者側にとっても、「家族と一緒に行くワーケーション」という新しい選択肢を手にすることができ、子どもも大人もそれぞれ楽しめるという、より参加者に寄り添った設計が満足度の高さに繋がったのだと感じられました。

    この事例をもとに、地方創生としてのワーケーションの導入が進んでいくことを願います。

    ※この記事内容は公開日時点での情報です。

    取材先企業
    株式会社グルーヴノーツ

    所在地:福岡県福岡市中央区今泉1丁目19番22号

    URL:https://www.groovenauts.jp/

    author
    HONPROmag編集部

    「HONPROmag」の運営会社 株式会社ホンプロのメンバーが編集部員となり、地方モデルによるディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)が溢れる社会実現を目指し、九州・沖縄エリアの自治体や企業の取り組み等をお届けします。