【福岡市】「働き方改革」は、働きがい、生きがいを感じる社会づくりへの鍵
CASE- SHARE
新型コロナウイルス感染症が契機となり、ニューノーマルな働き方が謳われる今日、採用市場での優位性を確保するためには、法令を遵守して安心して働くことができる職場だけでなく、従業員の心身の両方を考えた環境作りが重要です。働き方改革に取り組む企業を社会的に評価する動きも活発になってきており、福岡市では働き方改革の普及促進に向けて、ふくおか「働き方改革」推進企業認定事業(以下、認定事業)を行なっております。
今回は、福岡市経済観光文化局 総務・中小企業部 経営支援課の山下さん、桑野さん、冨永さんに、本認定事業をスタートした経緯や企業の反応、今後の展開についてお話を伺いました。
働きがい、生きがいを感じる社会づくりへ
2017年3月に、政府により、長時間労働の是正や同一労働同一賃金などが盛り込まれた「働き方改革実行計画」が決定され、企業における働き方改革が求められる流れとなってきました。
福岡市でも、働く人のニーズが多様化する中、一人ひとりが多様な働き方を選択でき、働きがい、生きがいを感じる社会づくりが必要と考えました。また、人手不足に対応する観点からも、企業は働き方改革に的確に対応し、職場環境の改善に取り組むことが求められています。そこで、市内企業の働き方改革の取組みを応援するため、2017年11月に認定事業を開始しました。
働き方改革への指標となる28の取組項目
「働き方改革って何をしたら良い?」という企業の指標として活用いただけるよう、認定事業では独自に専門家と協議して「非正規雇用の処遇改善、正規雇用促進」「長時間労働の是正」「ワーク・ライフ・バランスの確保」「ダイバーシティの推進」の4分野を設け、分野別に28の取組項目を設定しました。
必須要件に加え、取組項目を16以上を達成した企業をふくおか「働き方改革」推進企業(以下、推進企業)として認定しています。
チェックリスト形式で働き方改革の取り組みを明確に
国や県レベルでも相談支援や取組み宣言など働き方改革のサポートが行われていますが、福岡市の認定事業は、働き方改革に取り組む企業を市が審査・認定することが大きな特徴です。同認定制度は、28の取組項目がチェックリストとなっているため、企業が働き方改革において実施できている項目・できていない項目の進捗状況を見える化できます。また、市が認定することで、「働きやすい職場」であることを対外的にPRでき、企業イメージ向上や人材確保にもつなげることができます。
働き方改革への取り組みは確実に広がっている
2021年6月末時点の認定企業は120社。事業開始した2017年度は、認定企業4社でしたが、年々倍増しており、働き方改革の取組みの広まりを感じています。
申請のきっかけは、「以前から働き方改革に取り組んでいた」「求人PRにつなげたい」「認定の特典に魅力を感じて」などさまざまです。
働き方改革に取り組むきっかけとしては、「人材確保・定着」という企業が多い印象です。
また、「認定制度をきっかけに、従来から実施していた柔軟な働き方の取組み等を、制度として明文化できた」という声もあります。
同認定事業は、企業規模や業種を問わず申請を受け付けていますが、認定企業の特徴として、従業員数300人以上の企業が約1割、300人未満の企業が約9割となっています。
本事業の今後の展望
コロナ禍で、多くの企業がテレワーク等の新しい働き方への選択、対応が求められています。法令にしっかりと対応いただくことが必要なことではありますが、さらに働きやすい職場を実現していくために、それぞれの会社の事情に応じて、自主的・自発的に取り組まれていくことが大切だと考えています。
福岡市では、同認定事業の他にも、市内の高校・大学・専門学校に通う学生向けに「働くあなたのガイドブック」を配布する等、これから働く次の世代に向けて労働法令やルールなど参考となる情報を分かりやすく発信しています。
今後、認定事業やガイドブックの配布をとおして、主に市内企業の働き方改革を促していきたいと考えています。
最後に
認定企業からの認定制度に関する声として、「働きやすい職場のPRになった」「優秀な人材の獲得に繋がった」「取組項目を参考に、働き方改革とは具体的に何をすれば良いか学べた」などといただいています。同認定制度への申請は毎年3月と8月の年2回受け付けております。企業価値を高めPRしていくためにも、皆さまの積極的な取り組みと申請をお待ちしています。
福岡市外の企業でも是非、自社の働き方改革の状況を同認定制度の取組項目と照らし合わせて、働きやすい職場へのヒントとしてご活用いただければと思います。
※この記事内容は公開日時点での情報です。