契約書の基本 vol.1
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契約とは何か?
契約書の基本に入る前に、そもそも契約とは何でしょうか。一般に、契約とは、相対立する2個以上の意思表示の合致により、法律効果(=権利・義務の発生・変更・消滅など)が発生する法律行為としての約束のことをいうとされています。
契約かどうかというのは、「契約書」というタイトルかどうかで決まるものではありません。あくまでも上記の定義に当てはまる約束であれば、タイトルがたとえ「合意書」「覚書」「念書」「確認書」となっていようと、それは契約といえます。
また、契約が成立するためには書面は必要ありません。口約束だけでも契約が成立します(ただし、書面が必要な保証契約などの例外はあります)。
このように書面が無くても契約は成立するのに、なぜわざわざ「契約書」というものを作成するのでしょうか。
契約書作成のメリット
契約書作成については、以下3つのメリットがあります。
(1)合意内容の明確化
(2)紛争を予防
(3)リスクの軽減
契約書に求められる明確性や論理性などについて
このように契約書は合意内容を明確化し紛争を予防する役割があることから、契約書に求められるポイントとして、以下2点があります。
(1)文言の一義性・明確性
これは誰が読んでも、同じ意味内容で明確に理解されるものであるということです。人によって解釈が違ってしまうと議論の余地を生んでしまいます。たとえば、5W1Hを明確に書く、専門用語などは定義付けするなどの工夫をして誰が読んでも同じ意味内容で理解できるようにしておく必要があります。
(2)論理性
各条項が相互に矛盾なく整合していることが求められます。矛盾していると解釈に議論の余地を生んでしまうことになるからです。
よく見かける不備について
文言の一義性・明確性、論理性という観点から、契約書上よくある不備の一例をあげますと以下のとおりです。
・誤字・脱字
・文言が統一されていない。
・条文のナンバリングの数字がずれている
・主語や目的語が書かれていない。
・日付が空欄のまま、など
契約書のお作法について
契約書の作成に関していくつかのルールを紹介します。
(1)公用文の書き方に従う
契約書は、一般に公用文の書き方のルールに従って作成されます。
裁判所がこのルールに従って書面を作成しますので、裁判に関わる弁護士の多くも公用文の書き方のルールに従っています。
公用文の書き方については、文化庁のウェブサイトに掲載されておりますので、ご確認ください。
https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/series/21/21.html
(2)ナンバリングについて
「条⇒項⇒号」の順で番号を振っていきます。
条は、「第1条、第2条、 第3条・・・」と表記し、
項は「1,2, 3・・・」と振っていき、
号は「(1)(2)(3)・・・」(又は①、②、③など)
と振っていきます。
(3)定義の書き方について
固有名詞や目的物などを繰り返す場合や、業界用語・専門用語など一見して
意味が分かりづらい場合などに、定義づけをしていきます。
具体的に、 「・・・・(以下「A」という。)」という形で定義付けをし、
これ以降は「 A」という用語で一貫して統一して表記していきます。
一度定義をしたら、必ずその言葉を使うようにしましょう。
製本の仕方について
2枚以上にわたる場合には、製本をします。テープで綴じる場合には、テープの上に双方の印鑑を押して、改ざんを防止します。
これを「契印」といいます。
ホッチキスで止めるだけの場合には、各ページの見開きの中央に双方の契印を前ページに押していきます。原本が2つ以上ある場合には、改ざんを防止するために、双方を重ねて上部に双方の 印鑑を押していきます。
これを「割印」と言います。
印紙
不動産売買契約、賃貸借契約、請負契約など一定の類型の契約には印紙税を納めなければなりません。どのような場合に印紙税を納める必要があるのかについては、国税庁のウェブページに掲載されておりますのでご確認ください。
【参考】『契約書や領収書と印紙税』(令和3年5月)、その他通達など。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/pdf/1504.pdf
まとめ
以上参考にしていただけると幸いです。契約書に関するご相談、その他企業法務、顧問契約に関するご相談については、弁護士法人いかり法律事務所までお気軽にご相談ください。
※この記事内容は公開日時点での情報です。