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契約書の基本 vol.2

COLUMN

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  • 契約書チェックの前の下準備

    契約書の検討に入る前に、まずは取引内容の把握をする必要があります。そうしなければ実態に即する形で適切に契約書のチェックをすることができないからです。

    契約書をチェックする管理部門の方は、交渉窓口となっている事業部門の担当者に対して以下の各点についてヒアリングをしてください。手控えで関係図などをメモするとよいでしょう。

    【ヒアリング項目(例)】

     ・誰との間で?

     ・どのような目的で?

     ・いつからいつまで?

     ・どのような取引をしようとしているのか?

     (商品やサービスの内容や流れ、お金の金額や流れなどを確認)

    以上を確認したら、実際に契約書を見ていきます。

    契約書チェックする際の基本的視点

    契約書をチェックする視点は色々な切り口があるかと思いますが、以下のとおり、一般的な契約書の構成に従って見ていくが分かりやすいかと思います。

    ①契約の相手方当事者は信用できるか?

    ②契約の趣旨・目的は何か?

    ③契約当事者間の基本となる権利義務は何か?

    ④付随する義務は何か?

    ⑤双方の義務が果たされない場合の責任は?

    ⑥担保権を設定すべきか?

    ⑦その他、一般的に記載されるべき条項は網羅されているか?

    視点① 契約の相手方当事者は信用できるか?

    契約の相手方がきちんと約束を果たしてくれるのかという信用性については、最初にきちんと審査をする必要があります。具体的には、経営基盤の安定性、支払能力、コンプライアンス責任を果たそうとする姿勢などから信用性を判断していくとよいでしょう。

    この点に関して、最低限、商業登記簿、会社HPなどを確認することをお勧めします。会社によっては、財務諸表の提出を求めることもあります。できれば年に1回など定期的に確認チェックすることが望ましいと考えます。 

    視点② 契約の趣旨・目的は何か?

    冒頭部分又は第1条に契約の目的が記載されることが多いですが、契約の趣旨・目的、契約類型などが実態に即して明確に書かれているかを確認してください。トラブルに発展しそうになった時にお互いの共通認識として原点に立ち返り平和的解決を模索するきっかけになることもあります。万が一、訴訟に発展した場合、裁判所はよく趣旨や目的に遡って解釈論を展開しますので、そういった意味でもこの点を明確にしていくことは後に紛争解決に役立つかもしれません。

    視点③ 契約当事者間の基本となる権利義務は何か?

    次に、基本となる権利義務の内容を特定し、取引実態に即して明確になっているかを確認してください。

    契約によって発生する相対立する双方の基本的権利義務に関し、「誰が?誰に対して?いつまでに?何を?どのようにして?どうすべきなのか?(5W1H)」がきちんと網羅されているかを見るとよいでしょう。

    また、取引の実態に即するというのも極めて重要です。契約書があるにもかかわらず契約トラブルに発展しているケースの中には、取引の実態と契約書に書かれている内容が異なっており、どちらが契約の内容か不明確になっているという例をよく見かけるからです。

    視点④ その他付随的な権利義務は何か?

    基本的義務以外に、契約の目的を達成するために必要な付随的な権利義務は網羅されているかを確認します。以下は、その一例です。

      ・秘密保持条項

      ・個人情報保護に関する条項

      ・反社会的勢力の排除に関する条項

      ・第三者に対して権利義務の譲渡等を禁止する条項

      ・第三者の権利侵害をした場合の責任分配についての条項

      (*知的財産権の侵害、製造物責任など)

      ・知的財産に関する条項、など。

    視点⑤ 双方の義務が果たされない場合の責任は?

    次に、双方の義務が果たされない場合の責任について、基本的な権利義務が果たされない場合としてどのようなことが考えられるかという具体的リスクを想像し、リスク軽減措置が適切に書かれているかを確認してください。

    【権利義務が果たされない場合の例】 

    具体的には、不履行の場合の責任などについて、以下のとおり確認していきます。

    ・不完全な履行の場合、遅延の場合の条項

    ・不可抗力条項

    ・損害賠償条項

    ・解除条項

     視点⑥ 担保権の設定をすべきか?

    特に金銭債務の履行について担保する必要がある場合には担保権設定を検討します。具体的には、物的担保の設定(抵当権、譲渡担保権、質権など)や人的担保の設定(保証人、連帯保証人など)です。  

    視点⑦ その他一般的に記載される条項が網羅的に定められているか?

    その他の事項として、一例として以下の点を見ていくとよいでしょう。

    契約期間に関することとして、契約期間の定めはあるか。更新が予定されている場合には更新手続きは定められているか、など。

    紛争解決に関することとして、誠実解決条項,専属的合意管轄等の条項など。

    まとめ

    以上参考にしていただけますと幸いです。契約書に関するご相談、その他企業法務、顧問契約に関するご相談については、弁護士法人いかり法律事務所までお気軽にご相談ください。

    author
    園田 真紀

    弁護士法人いかり法律事務所
    弁護士・経営学修士(MBA)

    弁護士法人いかり法律事務所パートナー弁護士。民間企業等での法務・コンプラインアンス部門での豊富な実務経験を有する。
    経営学修士(MBA)も取得し、法律と経営の両面を踏まえた法的助言が可能。子育て奮闘中の「ママ弁」でもあり、ワークライフバランスの体現者を目指している。趣味は、旅行、美術・建築鑑賞、ピラティス。子どもと一緒にもう一度、グランドキャニオンを旅するのが夢。

     

    監修
    弁護士法人いかり法律事務所

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