ワーケーション実施企業の事例紹介と自治体職員向け誘致戦略
WORKATION
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目次
地域活性化の取り組みとして、ワーケーション導入を検討しているが、実際に企業がどんなことを求めているのか、どんな地域なら興味を持ってくれるのか?
自地域にも企業を誘致したい自治体職員に向けて、企業へどのようにワーケーションをアプローチすればいいのか?を知りたい。
この記事は、このようなお悩みが解決できる記事となっています。
1.ワーケーション実施企業の事例紹介
ワーケーションを導入している大手企業5つの実例を紹介していきます。
日本航空株式会社(JAL)
日本を代表する航空会社。航空運送を中心に幅広く事業を展開しています。
- 有給休暇取得率の向上
- 社員のモチベーション向上
- 柔軟な働き方の実現
- 地域とのつながりの強化
- 休暇型ワーケーションの導入:2017年より休暇利用中にテレワークを認め、間接部門社員の有給休暇取得を後押し。
- 地域との連携プログラム:徳島県神山町や宮城県鳴子温泉、福岡市、富山県朝日町などで「合宿型ワーケーション」を実施。地域の文化体験や住民交流を通じて自己成長につなげています。
- 多様な体験型ワーケーション:北海道でのビール醸造体験、愛媛での農業体験など、地域資源を活用したプログラムを展開。社員の感性を養うと同時に地域活性化にも貢献しています。
株式会社LIFULL
不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」運営。社会課題解決を事業を通じて目指しています。
- 社員の多様な働き方の実現
- 生産性の向上
- 地域社会への貢献
- 空き家活用による地方創生: 空き家データを元に、空き家活用の資金調達支援、空き家活用のプロデュース、空き家活用の人材育成とマッチングを進め、日本中の空き家再生と、それによる地方創生の可能性を切り開いている。
- 地域課題解決プロジェクトへの参加: ワーケーション参加者が地域の課題解決に取り組むプロジェクトに参加し、地域貢献を促進。
- 地域交流イベントの開催: 地域住民との交流イベントやワークショップなどを開催し、地域との関係性を深める。
株式会社野村総合研究所(NRI)
徳島県三好市の古民家サテライトオフィスにて、年3回、約1ヶ月間を前半と後半で区切り、十数名が参加する長期滞在型ワーケーション「三好キャンプ」を実施。
- 従業員のモチベーション維持
- 環境変化による新しい気づき・発見の獲得
- 新たな人との繋がり創出
- 地方課題への視野拡大
- 三好キャンプ:徳島県三好市の古民家を活用したワーケーション。平日は通常業務、週末は休暇。地域住民との交流を通じて、地域課題への視野を広げる。
- 地域連携:三好市の高校で出張授業を実施。市役所職員が触発され、同様の授業を企画・実施。地域活動を通じて、地元の人から感謝の言葉を受け、社員の喜びや成長に繋げる。
- 人材育成:人材開発部による三好市を活用した人材教育企画(2020年~)。地元課題の解決策を検討する研修を、地元市役所や商工会議所の若手職員と共同で実施。テレワークを活用した長期滞在により、地域課題解決と地域の人材育成に貢献する地域密着型の取り組み。
日本マイクロソフト株式会社
日本マイクロソフトには、厳密な意味での「ワーケーション制度」や「在宅勤務制度」は存在しません。同社は「日常」と「特別」という区別をなくし、従業員が「いつでもどこでも誰とでもコラボレーション」できる働き方を実現しています。これは、場所や時間に縛られない柔軟な働き方を可能にするもので、ワーケーションもその一環として捉えることができます。
- 従業員の自律性と柔軟性の尊重
- 多様なメンバーとの連携
- 企業競争力の向上
- 組織マネジメントの進化
日本マイクロソフトでは、働く場所を特に限定していません。従業員は、国内に限らず、どこでも自由に働くことができます。
重要なのは、業務に必要な環境(インターネット環境、セキュリティなど)が整っていることと、いつでもどこでも誰とでもコラボレーションできる環境を維持することです。
株式会社カヤック
「面白法人」を掲げるクリエイティブ企業。ユニークな制度や働き方を積極的に取り入れています。
- チームビルディング
- 働く場所の多様化の実験と「自由な働き方」への挑戦
- 「24時間遊び、24時間働く」という企業スタイルを体現し、創造性と生産性を高める
- 合宿型「旅する支社」:住居兼オフィスを一定期間(数週間〜数か月)確保し、チームで滞在・制作に没頭。”ネットがあればどこでも働ける”を体現する取り組みをしている。
- 移住支援サービスやコワーキングスペースの運営:石垣島にコワーキングスペースを開設し、社員が自由に活用できる場を提供。さらに、地域と連携したイベントや情報発信を通じて、移住希望者や地域住民との交流を促進し、新しい働き方と地域活性化の両立を実現しています。
2.企業が求めるワーケーションニーズとは
企業が求めるワーケーションニーズを捉えることで、企業へのワーケーション誘致へ効果的にアピールできることが考えられます。
企業がワーケーションを導入する目的は多岐にわたりますが、主なものとして以下の点が挙げられます。
- 社員の創造性・生産性向上
環境を変えることで、新しい発想やアイデアが生まれやすくなり、仕事への集中力が高まることが期待されます。 - チームビルディングの促進
日常業務から離れ、共に過ごす時間が増えることで、社員間のコミュニケーションが深まり、チームワークが向上します。 - 社員の福利厚生の充実
ワーケーションを福利厚生の一環として提供することで、社員の満足度向上やエンゲージメントが強化され社員の定着率向上につながります。 - 地方創生への貢献
ワーケーションを通じて地域経済の活性化に貢献することで、企業の社会的責任を果たすことができます。 - 新たなビジネスチャンスの創出
地域との交流を通じて、新しいビジネスアイデアやパートナーシップが生まれる可能性があります。このように、ワーケーションは、働く人・組織・地域・事業のすべてに波及効果をもたらす戦略的な打ち手であり、誘致のアピールにも直結します。
3.企業が重視するワーケーションの条件
企業のワーケーション導入事例を調査した結果、企業がワーケーションを実施するにあたり、重視する条件をまとめました。
- 快適な通信環境(Wi-Fi、電源):
仕事をする上で必須となる安定した通信環境は、最も重要な条件の一つです。高速で安定したWi-Fi環境と、十分な電源供給が求められます。 - 充実した宿泊施設と周辺環境:
長期滞在を快適に過ごせる宿泊施設(ホテル、旅館、コンドミニアムなど)と、リフレッシュできる自然環境やレジャー施設が重要です。 - 医療機関や生活インフラの整備:
万が一の事態に備え、医療機関や薬局、スーパーマーケットなどの生活インフラが整っていることが望ましいです。 - 地域住民との交流機会:
地域住民との交流イベントやワークショップなどを通じて、地域文化に触れ、地域とのつながりを深める機会が求められます。 - 地域課題解決への貢献機会:
企業のCSR活動の一環として、地域の課題解決に貢献できるプログラムやプロジェクトへの参加機会があると、より企業にとって魅力的なワーケーションとなります。 - セキュリティ対策:
情報漏洩を防ぐためのセキュリティ対策が施されたWi-Fi環境や、プライバシーが確保されたワークスペースが重要です。
4.企業規模別に見るワーケーションニーズの違い
企業規模によって、ワーケーションに求めるニーズは異なります。
- コストパフォーマンス:
予算が限られているため、費用対効果の高いワーケーションプランを重視します。 - 手軽さ:
導入や準備が簡単で、社員への負担が少ないワーケーションプランを好みます。 - 地域との連携:
地域の中小企業や団体との連携を通じて、新たなビジネスチャンスを創出したいと考える傾向があります。
- 社員の多様なニーズへの対応:
社員の年齢、家族構成、趣味嗜好など、多様なニーズに対応できる柔軟なワーケーションプランを求めます。 - CSR活動との連携:
企業のCSR活動の一環として、地域貢献や環境保全に繋がるワーケーションプログラムを重視します。 - データ分析:
ワーケーションの効果を測定し、改善するためのデータ収集・分析を重視します。
5.企業誘致戦略:具体的なアプローチ方法
企業を地域に誘致する際に効果的になるアプローチ方法をまとめました。
5-1.地域の強み・弱みを分析する
- 地域資源の洗い出し:
自然、歴史、文化、食、産業など、地域が持つ独自の資源を洗い出します。 - インフラ整備状況の確認:
通信環境、宿泊施設、医療機関、交通機関などのインフラ整備状況を確認し、改善点を見つけます。 - 地域住民の協力体制の構築:
ワーケーション受け入れに対する地域住民の理解と協力を得るための説明会や意見交換会を開催します。
5-2.ターゲット企業を明確にする
- 企業の業種・規模・CSR活動:
自地域の資源や強みに合致する企業の業種、規模、CSR活動などを考慮し、ターゲット企業を明確にします。 - 地域課題とのマッチング:
地域の課題解決に貢献できる企業をターゲットに設定します。
5-3.企業に響くアピールポイントをつくる
- 地域の魅力を最大限にPR:
自地域の美しい自然、豊かな文化、美味しい食、温かい人々など、魅力を最大限にPRします。 - 企業にとってのメリットを明確に提示:
ワーケーション導入によって企業が得られるメリット(社員の創造性向上、チームビルディング、地方創生への貢献など)を具体的に提示します。 - 具体的なワーケーションプランを提案:
企業のニーズに合わせた、宿泊施設、ワークスペース、地域交流プログラムなどを組み合わせた具体的なワーケーションプランを提案します。
5-4.広報活動を展開する
- 企業向け説明会・個別相談会の開催:
ワーケーションに関する情報提供や個別相談を行う説明会や相談会を開催します。 - ワーケーション体験ツアーの実施:
企業担当者や社員向けに、実際にワーケーションを体験できるツアーを実施します。 - SNSやウェブサイトでの情報発信:
ワーケーションに関する情報をSNSやウェブサイトで積極的に発信し、地域の魅力をアピールします。 - プレスリリース:
ワーケーションに関する取り組みをプレスリリースで発表し、メディアへの露出を図ります。
5-5.企業との継続的な関係を築く
- ワーケーション後のアンケート調査:
ワーケーション参加者からアンケートを収集し、満足度や改善点を把握します。 - 地域との交流イベントの開催:
ワーケーション参加者と地域住民が交流できるイベントを開催し、地域とのつながりを深めます。 - 新たなビジネスチャンスの創出:
ワーケーションを通じて生まれたビジネスアイデアやパートナーシップを支援し、新たなビジネスチャンスを創出します。 - 定期的な情報交換:
企業担当者と定期的に情報交換を行い、ニーズの変化に応じて情報共有やアプローチをおこないます。
6.まとめ
ワーケーションは、企業と地域双方にとって大きな可能性を秘めた取り組みです。
本記事で紹介した企業事例やニーズ、地域の特徴、アプローチ方法を参考に、自地域ならではのワーケーション誘致戦略を立案し、地域活性化を実現しましょう。
成功の鍵は、企業のニーズを理解し、地域の魅力を最大限にアピールすること、そして、企業との継続的な関係を築くことが鍵となります。
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